交通事故について

1 事故でけがをした場合の損害賠償の額は?

 

  交通事故でけがをした場合,損害賠償の対象となるのは

 

  ・けがの治療のための治療費,入院費

  ・付添い看護の費用

  ・通院のための交通費

  ・けがのため家屋や自動車の改造した場合の費用

  

  ・(症状が固定するまで)仕事を休んだために得られなかった収入

  ・(症状が固定したあと)将来的に仕事ができなくなったために失う収入

  ・慰謝料

  などです。

 

 慰謝料の目安は,損害賠償額算定基準(いわゆる赤い本)によると,

  被害者が死亡した場合

   被害者が一家の支柱の場合  2800万円

   〃   母親,配偶者の場合 2400万円 

   その他           2000万円~2200万円

  被害者本人の後遺症慰謝料

   第1級  2800万円

   第2級  2370万円

   第3級  1990万円

   第4級  1670万円

   第5級  1400万円

   第6級  1180万円

   第7級  1000万円

   第8級   830万円

   第9級   690万円

   第10級  550万円

   第11級  420万円

   第12級  290万円

   第13級  180万円

   第14級  110万円

 

 となっています。

 

2 保険会社との示談交渉の方法は?

 

  保険会社と示談交渉をする場合,治療費の内払い等が得られることが多く,症状が固定  

 する以前(最終的に賠償を求める金額が確定する以前)から,保険会社との交渉が始まり 

 ます。こうした初期の交渉の時点で,保険会社から治療の打ち切りを求められたり,内払

 いの金額に不満があったりといった事情で相談を受けることがあります。

  また,一般に保険会社が当初提示する金額は,裁判となった場合の基準に満たないこと

 が多いようです。保険会社との交渉は,裁判となった場合に得られるであろう金額を念頭

 におきながら進める必要があります。裁判となった場合の基準を判断するためには,その 

 判断資料の収集が必要になります。専門的な知識が必要になりますので弁護士と相談して

 ください。

  自賠責保険については,保険会社が行うのが通常ですが,自賠責保険からとりあえず早

 期にまとまった保険金を受領したい場合など,被害者が直接請求することもあります。

 

【 事 例 】

 依頼者は,交差点で停車中に後から追突される事故にあい,腰の痛みなどの為に病院及び整骨院への通院加療が必要となりました。依頼者自身が加害者側の保険会社と交渉したところ,保険会社は約40万円の賠償金を提示しました。その後,当職が代理して保険会社と交渉したところ,賠償額は約60万円に増額されました。

 なお,この依頼者は,自動車保険の弁護士費用特約を活用したため,弁護士費用の負担は生じませんでした。

 

【 事 例 】

 交差点での右折車両と直進車両との衝突事故で,直進車両を運転していた依頼者から相談を受けました。依頼者は,相手方保険会社との間で示談交渉をしていましたが,過失割合,休業損害の補償期間,慰謝料の額などの点で合意できませんでした。

 保険会社から提示された賠償金の金額は,既払いの分も含め,約160万円でした。

 当職が代理人となり,訴訟を提起し,当方の主張を概ね認める判決を得ました。

 保険会社から得られた賠償金の額は,既払いの分も含め,約470万円となり,約310万円の増額となりました。

 このように,訴訟を提起することで,賠償額の増額を受けられる場合もあります。